【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
大人の恋はずるい?
【今日は早く終わりそう。一緒に食事をしよう】
終業時間間際に来たメッセージをジッと凝視した。
本当に私が食事の管理をするの?
そして、管理といいつつ食事に誘われるこの状況……。
意味が分からない……。
この間の食事のお金も結局払っていない私は、この状況をどうしていいのかわからなかった。
昔はよくどちらかの家で一緒に食事をすることもあったけど、実家を出たばかりの私は料理なんて全くできず、いつもコンビニや、お持ち帰りの物を買ったりしていた。
それでも楽しかったし、幸せだったけど……。
大概女子力低かったよね……。
たまに作った本当に簡単な料理すら失敗した私にも、部長は優しかった。
そして、私は心から、あの頃の部長に同情した。
そんな事を思いながら、私は小さくため息をついて、まだ残っている仕事を急いで片付けるために意識を集中した。