【2025.番外編＆全編再掲載】甘い罠に溺れたら

試される愛

宣言通り、優悟君はあのあと親会社である、佐伯ホールディングスの常務のポストへと移動になった。

それに伴い、お父様である社長が会長職に、お兄様である武人さんが社長に就任した。
その事実は、私たちの会社にも大きな影響をもたらした。

今までの課長が念願かない部長に昇進し、水田先輩が課長になった。
秘書課や受付の女子社員は、一気に遠い存在になってしまった部長への思いを口々にしているのをよく耳にする。

あの日以来、更に忙しくなった優悟君とは電話や、メッセージ以外できておらず、覚悟はしたとはいえ、一番遠く感じてしまっているのは自分自身かもしれない。

それでも、最後にあった日、抱きしめてもらって、大切な言葉をもらって私自身も少しでも近づけるように頑張ろうそう思えている自分がいた。