【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら

Loneliness

「沙耶?」
俺は2週間ぶりに帰った部屋で、彼女の名前を呼んだ。

いつもならもう帰っていてもちろんいいはずの時間だ。

驚かそうと思って、1日早く出張から戻ってきたことを伝えていなかった自分を呪った。

「飲みにでも行ったのかな……」
時計を見るともうすぐ22時になろうとしている。

いつも出張から帰ると、明るい沙耶の笑顔が迎えてくれるのが、一緒に住みだしてから当たり前になってしまっていたことに気づいた。

真っ暗なリビングに入り、電気をつけると、やっと沙耶に会えると思っていた俺は小さく息を吐いてネクタイに手をかけた。
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