時の止まった世界で君は
昔の記憶
「お、目覚めた。おはよう」
「手術、終わったよ。よく、頑張ったね。偉かった」
「先生っ」
「...なに、あんまり大きな声は__「お母さんに逃げられました!」
「え……?」
「訪室したら、もぬけの殻で……、荷物も全部持っていかれてます」
「連絡は?」
「ダメです。拒否されてるのか、繋がりません。旦那さんも同じ状況で…」
「…………くそっ」
「……状況はわかった。とりあえず、連絡だ。警察と施設と……、関係各所に通達を頼む。…………この子は……、一旦まだしばらくは容態も診なきゃいけないから、ここで様子をみる。その後のことは……今は、関係各所の指示を仰ごう」
「はいっ」
「何も…………今日じゃなくていいのにな。……君は、こんなにも一生懸命頑張ってたっていうのにな…………」
「…………大丈夫だよ。俺たちは、君の味方だからね。大丈夫だ。大丈夫。……何があっても、俺たちだけは味方だから。……安心して、大きくなるんだよ」