【web版】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(コミカライズ:男装令嬢が性別を隠して士官学校に入学したら、王子様と騎士様が執着してきます)

35.アイスベルクの春


 今日はぬし様の湖に行く。その後、町へ行こうと思う。町歩き用のワンピースを誰に気兼ねなく着られるようになったのに、胸にはポッカリと穴が開いている。
 誇らしかった士官学校の制服。黒いマント。いずれは、騎士団の白いマントを羽織れたならと憧れていた。でも、その夢はついえた。いや、そもそも望んではいけない夢を見ただけだったのだ。


 
 今年は湖の氷が解けるのが遅い。
 秋の狩りシーズンにフェルゼンが来なかったからかもしれない。なんとなくだが思うのだ。ぬし様はフェルゼンを気に入っている。寂しがっているのかもしれない。
 もう春も来ようとしているのに。
 薄く張られた湖の氷に、一片の雪が舞った。
 
 ごめんなさい。心の中で謝る。もう、フェルゼンはここには来ない。
 すべて私の我儘で、いろんな人を傷つけた。それなのに心配してくれる人が居る。

 ミシリ、湖の氷が鳴った。

< 363 / 424 >

この作品をシェア

pagetop