月に魔法をかけられて
レセプションパーティー
11月30日

今日はレセプションパーティーがホテルで開催される。
クリスマスコフレの発売に合わせて、ルナ・ボーテが行う毎年のイベントだ。

毎年、10月下旬から12月初旬にかけて発売される限定のコスメ。今年のクリスマスコフレは例年より遅く12月1日に発売されることになっており、その前日の今日がレセプションパーティーの日に設定されていた。

この時期、各社から様々な限定コスメが発売されるが、ルナ・ボーテのクリスマスコフレは毎年発売と同時にすぐに完売してしまうほどの大人気の商品で、今年は予約だけでほぼ完売のようだ。

私はクリスマスシーズンということもあり、ホテルも街並みもクリスマス一色になるこの時期のこのパーティーが大好きだった。


「山内さん、今日のパーティーの開始は何時だったかな?」

珍しく副社長が私にスケジュールの確認をしてきた。
普段、副社長は自分のスケジュールを全て把握しているので、特別なことがない限り私から伝えることはほとんどない。

個人的なスケジュール以外は全てアウトルックに入力されており、その詳細を開けば時間も確認できるようになっている。私は不思議に思いながらも副社長に時間を伝えた。

「開場が17時30分からで、開演は18時からになります」

「開場が17時30分か。じゃあタクシーを17時で手配しておいてくれるかな?」

「タクシーでしたら既に17時で手配しておりますので大丈夫です」

私は少し笑顔を向けながら副社長に答えた。

「ありがとう。ところで山内さんも今日のレセプションパーティーには行くんだよね?」

今度は副社長が私のスケジュールを聞いてきた。

「はい。吉川チーフから連絡がありまして、塩野部長より副社長の了承を得ているので、参加するようにと連絡がありました」

私は先日、瞳子さんから連絡がきた内容を副社長に伝えた。
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