月に魔法をかけられて
嬉しさと寂しさと……
「副社長、お待たせしました。遅くなりましてすみません」
ホットカーペットの真ん中にテーブルをセットし、その上を黄色の台拭きで拭く。
「すみません椅子じゃなくて。このまま座って食べなきゃいけないから、足が痛くなると思うんですけど」
「そんなの全然気にしなくていいよ。なんか手伝うことある?」
テーブルを拭いている私の顔をチラッと覗き込む。
「えっと……。じゃあごはん持ってくるので、テーブルの上に並べてもらってもいいですか?」
「わかった」
私はキッチンに戻り、ロールキャベツを2つのグラタン皿に入れ、なすを楕円形の煮物皿に入れて盛り付けると、その上から糸唐辛子とごま油を少し垂らし、お盆に乗せてテーブルに運んだ。
「おっ、これってロールキャベツ? 旨そう! これは茄子だよな? ごま油の匂いがする。美月、今の時間でこれを作ったのか?」
お皿に盛った料理をテーブルに並べながら子供のように反応している。普段の副社長からは想像つかない姿を見て、微笑ましくてクスッと笑みがこぼれた。
卵焼きを長細い平皿に乗せて、お椀に少し天かすを入れたあと味噌汁を注ぐ。そして最後にご飯をお茶碗によそうと、またお盆に乗せて持って行った。そして冷蔵庫からペットボトルのお茶を出しグラスに注ぎ、箸をセットしたところで、副社長の前に座った。
「お口に合うか分かりませんが、ど、どうぞ食べてください……」
ぎこちない笑顔を副社長に向ける。
副社長は私の顔を見てにこっと笑ったあと、きれいに手を合わせて「いただきます」と言って箸を持った。
「どれから食べようかな」
口端を上げてテーブルの上の料理をひとつひとつ確認するように視線を動かす。
「どれも旨そうで迷うけど最初はやっぱり味噌汁だな」
そう言って味噌汁のお椀を手に取るとゆっくりと口につけた。
ホットカーペットの真ん中にテーブルをセットし、その上を黄色の台拭きで拭く。
「すみません椅子じゃなくて。このまま座って食べなきゃいけないから、足が痛くなると思うんですけど」
「そんなの全然気にしなくていいよ。なんか手伝うことある?」
テーブルを拭いている私の顔をチラッと覗き込む。
「えっと……。じゃあごはん持ってくるので、テーブルの上に並べてもらってもいいですか?」
「わかった」
私はキッチンに戻り、ロールキャベツを2つのグラタン皿に入れ、なすを楕円形の煮物皿に入れて盛り付けると、その上から糸唐辛子とごま油を少し垂らし、お盆に乗せてテーブルに運んだ。
「おっ、これってロールキャベツ? 旨そう! これは茄子だよな? ごま油の匂いがする。美月、今の時間でこれを作ったのか?」
お皿に盛った料理をテーブルに並べながら子供のように反応している。普段の副社長からは想像つかない姿を見て、微笑ましくてクスッと笑みがこぼれた。
卵焼きを長細い平皿に乗せて、お椀に少し天かすを入れたあと味噌汁を注ぐ。そして最後にご飯をお茶碗によそうと、またお盆に乗せて持って行った。そして冷蔵庫からペットボトルのお茶を出しグラスに注ぎ、箸をセットしたところで、副社長の前に座った。
「お口に合うか分かりませんが、ど、どうぞ食べてください……」
ぎこちない笑顔を副社長に向ける。
副社長は私の顔を見てにこっと笑ったあと、きれいに手を合わせて「いただきます」と言って箸を持った。
「どれから食べようかな」
口端を上げてテーブルの上の料理をひとつひとつ確認するように視線を動かす。
「どれも旨そうで迷うけど最初はやっぱり味噌汁だな」
そう言って味噌汁のお椀を手に取るとゆっくりと口につけた。