エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
夫婦で恋人
「少し時間はあるかな」

 カフェを出たあと、和臣にそう切り出された。

 梓はちょっと考えて返事をする。

「はい。急ぐ時間ではないです」

 まだ夕方にも少し早い時間だ。

 和を引き取って帰って、夕食の時間がいつも通りに迎えられる頃に帰ればいい。

 それなら、ゆっくりはできないが、少しは時間があるといえるだろう。

「そうか、良かった。じゃあ、行きたいところがあるんだけど、どうかな」

 和臣が誘ってくれて、梓はすぐに頷いた。

 この調子では遠いところではないだろうし、それに。

 もうしばらく一緒に過ごせる。

 そのことを嬉しく思ってしまったのだ。

 新しく関係を構築し、これから夫婦になる身として、一緒にいられるというのは、もう手放しで嬉しいと言えることだし、そう言えるようになったのもまた、嬉しく思う。

 それでカフェ近くの駐車場に停まっていた和臣の車に乗り込んだ。
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