エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない

帰りの車内で

「和、寝ちゃったよ」

　真っ暗な車内で、梓は隣のチャイルドシートに座った和の髪を優しく撫でた。

　和はシートにもたれて、くぅくぅと穏やかな寝息を立てている。

「そっか。疲れたんだな」

　運転席にいる和臣も優し気な声になる。

　ちょうど信号待ちだったので、少しだけ振り返った。

　暗い中でも、外にある街灯の灯かりで表情が見える。

　和臣の、穏やかで、やわらかな笑顔。

　梓が一番好きな顔である。

「ごめんね、ずっと運転させて」

　信号が青になり、前を向き直して車を発進させる和臣に向かって、梓は軽く謝った。

　今日は家を出発して、元住んでいた埼玉の奥地へあちこち挨拶に行って、埼玉県内のテーマパークに行って……今度は都内の家に帰る。

　そんなスケジュールだった。