エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
二人きりのデート
「デートは久しぶりだな」

 ショッピングモールの通路なんて、なかなか来ない場所を二人で歩きながら、和臣がしみじみと言った。

「うん、二ヵ月ぶりくらいかな?」

 梓の答えに、和臣も頷く。

「ああ、しばらく立て込んでたものな」

 二人、連れ立ってモール内を歩く。

 かつかつと響く、和臣の革靴の音。

 こつこつと響く、梓のヒールの音。

 こういう音が立つ靴を履くのは久しぶりだった。

 普段はどうしてもスニーカーなどの、簡単に履けて、すぐに走り出せる靴を選ぶから。

 今日は和臣と二人きり……デートだから履いてきた、とっておきの靴。

 それに服も同じで、おしゃれをしてきた。

 レースの装飾が控えめに付いた、かわいらしくも上品な膝丈スカートに、上はふわふわの白いニット。

 アイボリーのロング丈コートも、たまにお出掛けへ行くときの、少し特別なものだ。

 和臣も洗練された私服姿だ。

 茶色いチェック柄のボトムスに、ざっくりとしたニットカーディガンには細身のネクタイを合わせて。

 一番上にはチェスターコートを羽織っている。

 冬の特別なお出掛けスタイルだ。

 そんな二人が歩くショッピングモール内に、お客はあまりいなかった。

 平日の真っ昼間だからである。

 こういうところが混むのは、どうしても土日や夕方、夜なのだ。

 和臣は休みが不定期なので、せっかくだから混まないときにゆっくり過ごせるようにと、平日を選んだのである。
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