エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
甘いひととき
「わ、とってもかわいい!」

 運ばれてきたチョコレートケーキを見て、梓はつい小さく声を上げてしまった。

「ああ、美味しそうだ」

 ソファ席の隣に腰掛けた和臣も、店員がお茶の支度を並べてくれるのに軽くお礼を言ってから、梓に笑みを向けた。

 チョコレートケーキは二月ということで、バレンタインを意識してラインナップされているのだろう。

 チョコレートの生地に、同じくチョコレートのクリームが絞ってあって、上にちょこんとラズベリーとミントの葉が飾られている。

 見た目も素敵なスイーツだ。

「んっ! とっても甘い……!」

 フォークですくって、ぱくりと口に含んだ梓は、もっと表情を崩してしまう。

 こっくりと甘いチョコレートのクリーム。

 なのに生地はあっさり目の味で、その両方が合わさって、ちょうどいい甘さ具合になっていた。

「良かった。素敵なカフェだな」

 和臣のほうはホットコーヒーを口にしていた。

 あたりを軽く見回す。

「うん。半個室があるなんて」
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