エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
破綻
「婚約……?」

 目の前に置かれたアイスコーヒーを飲む余裕もなく、梓は呆然と呟いた。

 その梓の前に座る彼女は、同じく手もつけていないアイスティーには目もくれず、「そうよ」と肯定した。

 黒髪が艶やかな彼女は、高校時代よりさらに美しくなっていた。

 現在はモデルとして活動しているのだというのだ。

 高校時代から美人として有名だったからなぁ、なんてそのときだけは呑気に梓は思ってしまった。

 彼女、高校時代に和臣の彼女だった新堂(しんどう) 美穂(みほ)

 急に彼女から連絡があったとき、梓は戸惑った。

 連絡先なんてどうやって知ったのか。

 そもそも知り合いですらない。

 しゃべったことだって、記憶の限り、一度もない。

 それなのに、どうして。
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