エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
手がかり
「和のほうから興味を覚えたのだったら、穂住くんが一緒だったのかもしれないな」

「それはあるかも」

 梓もそれは、なくもないだろうと思った。よってそう答える。

 そんな話をしながら美穂の家という方向へ、あたりを気にしながら歩いていったときだった。

「ううっ……うぁ……、あぁ……!」

 子どもの声がした。

 どうやら泣き声だ。

 梓も和臣も、ぎくっとして立ち止まった。

 しかし和ではないようだとすぐに思った。

 声は男の子のものだったのだから。

 それでも放っておくわけにはいかない。

 和臣はきょろきょろあたりを見回し、すぐに方向を知ったらしい。

 そちらへ駆け足で向かい、梓もそれに続いて……、再度ぎくっとした。

 立ち尽くして泣き喚いていたのは、まさにその穂住ではないか。
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