エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
あれから三年
 あれから三年が経った。

 梓が和臣と再会し、一ヵ月にも満たないほどの交際をして、そして美穂と、その婚約の事情を知ってしまってから。




 梓は悩んだ。

 和臣に直接聞いてみようと、はじめは思った。

 でもすぐに、それは良くないと思ってしまった。

 だって和臣なら、自分を気遣ってくれるに決まっている。

 それなら、悪くすれば和臣に『警察官』という夢を捨てさせてしまう事態になるかもしれない。

『婚約は破棄する。警察官でいられなくなっても構わないから』

 和臣ならそう言っても、なんの不思議もない。

 でも駄目だ、と思った。

 和臣にそんなことをさせてはいけない。

 昔からなりたかったんだと笑って話してくれた、警察官という仕事を、自分のために捨てさせてはいけない。
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