エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
絶対に離さない
 季節は進み、すっかりあたたかくなった。

 それどころか、もう初夏も近いくらいだ。

 和が誕生日を迎え、五歳になって数ヵ月。

 梓が実感した通り、和はぐんぐん成長して、幼稚園でも楽しく過ごしているらしい。

 身長もずいぶん伸びたし、三月からはじめたバレエ教室にもすっかり馴染んだ。

 今では週一回のレッスンの日が待ち遠しいようで、その日は朝から「今日はバレエの日だよね」と何度も確認するくらいである。

「ただいまぁ! ママー!」

 インターホンが鳴り、ドアが開く音がして、すぐに和が走り込んできた。

 今日は少し気温が高かったので、上はTシャツだけ。

 それにショートパンツと園の帽子をかぶった姿だ。

「おかえり、和」

 リビングのソファに腰掛けてパンフレットを読んでいた梓は、笑顔を浮かべてそれを迎える。

 パンフレットは閉じてテーブルに置いた。

 表紙には、車のイラストがついている。

 少し前にもらってきたものだ。
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