エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
シングルマザーの決意
 和が産まれてもう四年が過ぎた。

 独りで産んで育てる、つまりシングルマザーになることは不安が大きかったけれど、実家の両親、特に母は味方になると強く言ってくれた。

 和臣との関係や、妊娠した経緯。

 しかし関係を壊して和臣の前から去ることを選んだ気持ちも……。

 妊娠が発覚した、数日後。

 梓は実家に帰り、母に事情を話した。

 母は絶句したが、そののち、涙を零した。

 そして梓を抱きしめてくれたのである。

「大丈夫よ。私もお父さんも協力するから」

 きっぱり言ってくれた母は、これまた梓と似た気質なのであった。

 穏やかながらも芯が強い、しっかりした女性だ。

 梓の「和臣さんに迷惑をかけたくない」という気持ちも汲んでくれて、実家に来られても連絡先は教えない、事情も話さないと約束してくれた。

 そして和臣に非はないのだと、責めないでほしいと必死に説明した梓のことも理解してくれた。

「想い合っても結ばれないことだってあるもの。上手くいくとは限らないのよ」

 そう言って、頭を撫でてくれた母に、梓は心から安堵した。
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