エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
昼はお仕事
「では、今日はよろしくお願いします」

 朝から【ゆずりは】に出た梓は、老齢の女性に向かって頭を下げた。

 彼女はにこにこ優しい笑顔でそれに応える。

「はいはい、三時頃ね。わかったわ」

 白髪になった短い髪と、老齢ながらまだしゃんと伸びた小柄な体躯を持つ彼女・百合子(ゆりこ)はオーナーの母親である。

 オーナーは現在、【ゆずりは】のすぐ隣の家で、妻と、この母・百合子と三人で暮らしているのだ。

 息子がいるが、もうとっくに家を出て、都内で働いているそうだ。

 そのオーナー一家の厚意で、梓は時々和を預かってもらっていた。

 主に夕方、和の幼稚園が終わってから、カフェのディナータイムピークが過ぎるまでの数時間。

 ほかにも用事があるときなども任せていいと言ってもらえていて、とても助かることである。

 働いていると、どうしてもずっと一緒にいて面倒を見るというわけにはいかない。

 かといって、シングルマザーなのだから仕事を辞めたら食べていけない。

 よって保育所などに預けるのが普通かな、と、産休が明けた頃、梓は考えた。

 産休の間は、ここまで貯めていた貯金と、ほかには実家の援助で暮らしていたが、そろそろそれも心もとない。元通り働かなければいけないのだ。

 だから半日でも数時間でも預けることを考えたのだけど、そこで手を上げてくれたのがオーナー一家だったというわけだ。
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