エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
「ごめんなさい」
「えっと、今更だけどここのお宅は……」

 客間に落ち着いてから、和臣が切り出したのはそれだった。

 梓はうつむいて、視線を合わせないようにしながら小さな声で答えた。

「私の……職場のオーナーのご自宅です」

 和臣はそれで納得したようだった。

 それだけの説明で大体を理解したらしい。

「そうなのか。……よく預かってもらってるのかな」

「ええ」

 それだけで沈黙が落ちた。

 数秒、その場が静まる。

「梓」

 静寂を破ったのは和臣だった。

 だが梓は即座に口を開く。

「ごめんなさい」

 きっぱり言った。

 なにに対して謝ったのか、和臣はすぐにわからなかっただろう。

 それはそうだ、だってまだ用件も言っていないのだから。
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