エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
和臣との電話
 ぷるる、ぷるる……。

 呼び出し音が耳の中まで飛び込み、どくどくと心臓を高鳴らせているようだった。

 体が震えないように、梓は耳に当てたスマホをぎゅっと握った。


 *****


 昼間、実家へ行き、母と話をしたその夜のことだ。

 夕ご飯を実家でごちそうになった。

 和と両親と共に食べて、楽しい時間を過ごすことができた。

 そのあとは父が家まで送ってくれた。

 車では二時間近くかかるのに悪いよ、と言ったのだけど、「電車だと混む時間だから」と言ってくれたのだ。

 確かに子どもを連れて、しかも夜に長く電車に乗るのは少々不安だったから、お言葉に甘え、送ってもらった。

 すぐに和とお風呂に入り、そして和は「もうねむたい……」と早々眠ってしまった。

 子どもにとっては小旅行にも等しかっただろう。

 布団に寝かせるなり、すぐに寝入ったのだ。

 梓はほっとした。

 和もきっとなにか感じ取ったのだろう。

 梓の気持ちが変わったことや、少し状況が変化したことや、ほかにもなにか。

 子どもはそういったことに敏感だから、それで安心できたのかもしれない。

 それなら自分が次にすることは決まっている。
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