【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部更新中】
いざ港へ
その異様な雰囲気にただならぬ出来事があったのかなと思った私は、恐る恐るマリアに声をかけた。
「あら、マリアじゃない。どうしたの?そんなに大荷物を抱えて」
そう言えば最近はマリアが来る事がめっきり減っていて、どうしたのかなって思っていたところだったのよね。
プロムまでは頻繁に邸に来ていたのに……私の声にこちらを向いたかと思うと、涙目で訴えてきたのだった。
「オリビア~~久しぶり!聞いてよぉぉぉヴィルが……」
「うるさい」
マリアが何かを訴えようとすると、すかさずヴィルがマリアの言葉を遮ってしまう。
マリアは大層ご立腹でヴィルの方へと一直線に歩いてきて、怒りをぶつけ始めた。
「ちょっとヴィル……なんで私を置いていくわけ?!あんなに私も行くって言ったのに!」
「連れて行けるわけがないだろう」
「日々善行を積んでいる私に対しての仕打ちが酷い!」
「損得入り混じった善行など、善行とは言えん」
「酷ぉぉ!!」
2人のやり取りは売り言葉に買い言葉でどんどんヒートアップし、私たち周りの人間は呆気に取られて収まるのを待つしかなかった。
それでもなかなか終わらないので、私がマリアに声をかけると、ようやく我に戻ったのか、マリアに泣き付かれてしまう。