【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部更新中】
幸せな時間と聖女の反撃 ~王太子Side~
私に聞かれて相当恥ずかしかったのか、顔を引きつらせたまま固まっているオリビアが可愛い。
もっと今の言葉を聞く為にどこかに隠れていれば良かったと、今更ながら後悔している自分がいる。
「ねえ、ねえ、おうじさま。オリビア様っておうじさまが大好きなんだって!」
「さっきも大きい声でいってたもんねー!」
そんな私に子供たちが嬉しい事を言ってくれて、私の心が喜びで満たされていった。
やはり子供はいいな……素直で思惑や駆け引きなどない。
オリビアとの子供か…………一人で想像し、顔が緩んでしまいそうになる自分を何とか自制した。
子供たちが健やかに育つ世にしていかなくてはな。
まずはここに来た目的をオリビアに話し、私たちは公爵邸へと移動する事にしたのだった。
公爵邸では彼女の父であるクラレンス公爵がいて、オリビアのドルレアン国行きを告げるとあからさまに嫌な顔をされたのだが、オリビアがとても嬉しい言葉を公爵に伝えてくれたおかげで、私の心は一気に晴れやかになっていく。
「お父様、心配してくださって感謝いたします。私はもう彼と生きていく覚悟を決めておりますから、大丈夫ですわ」
オリビア…………そんな風に考えていてくれたとは。私とて覚悟など当に決まっている。
これは挙式を早めた方がいいかもしれない。
クラレンス公爵もオリビアと結婚すれば舅……お義父上か。いい響きだな。
そんな彼女の言葉の余韻に浸っている私に、クラレンス公爵から無言の圧をかけられてしまう。