【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部更新中】
オリビアとの出会い、闇堕ちしかけた時、そして聖女としての役目 ~マリアSide~
どうしても元の世界に帰る手段が見つからず、気持ちは重いままだったけれど、郷に入っては郷に従え精神で仕方なしに教会の奉仕活動の手伝いをしていた。
聖女の力も使いこなせるようになり、それなりに人の役にも立ち、周りからは聖女様と崇められる日々……でもそんなものが私が失ったものに勝てるわけがなく、時間だけが虚しく過ぎていった。
オリビアの事を最初に見たのはそんな時だったと思う。
奉仕活動の一環として、ヴィルと護衛達で王都の街中を回っていた日――――ちょうど中心部を回っていたら、突然爆発騒ぎが起こった。
私が駆けつけようとすると「聖女様に何かあれば民が動揺する!」とヴィルに言われたけれど、そんな事知っちゃことじゃないわ!と現場に駆けて行った。
目の前の人を救えなかったら、私がこの世界にいる意味すらもなくなっちゃうじゃない……!
そうして駆けつけた先にひと際美しくて、いかにも貴族令嬢という女性が消火活動を行っている姿が目に入ってくる。
「オリビア?リチャード?どうして君たちが…………」
ヴィルがその女性をオリビアと言っていて、噂の婚約者なのだと直ぐに認識する。
すっっっごい美人……ヴィルに勿体ないくらい聡明そうだし。
彼女は自身が汚れてしまう事も気にせず、自分の出来る事で鎮火しようとしていて、その姿を見て、私も自分の出来る事をやらなくてはと、初めて大きな力を使って雨雲を呼び寄せた。
一度コツをつかんでしまえば出来るもので、この力を使うのもなかなか楽しいものね。
そうして見事鎮火に成功する。
よかった……やれば出来るってこういう事よね。
そんな達成感でいっぱいだった私の目に飛び込んできたのは、馬に跨り、ヴィルに挨拶をするオリビアの姿だった。