【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
やっと見つけ出した希望 ~王太子Side~
翌日、オリビアの提案で水遊びをする事になった私たちは、皆で二台の馬車に乗り、出かける事になった。
この国での滞在を有意義なものにしたいというオリビアの配慮だ……相変わらず私の婚約者は気が利くし、優しいな。
昨日の様子を見て、マリアも気分が落ち込んでいただろうから、彼女にとってもいい気分転換になるだろう。
絶対にくるはずがないと思っていたレジェクが、私たちの馬車に乗っている事だけが予想外だったが。
「昨日の今日で大丈夫でしたか?」
私が気遣った(フリをした)言葉をかけると、こちらをチラリと見て窓に視線を戻す。
「特に何も問題はありません。お気遣いいただきありがとうございます、と言った方がよろしいでしょうか?」
私の嫌味にも普通に返しているところを見ると、平常運転のようだな。
「水遊びか~~すっごく楽しみなんですよね!人生初かも!」
「おい、どうしてお前が乗っている」
ラスは男だけの馬車でひと際楽しそうにふるまっていた。
あれほどの殺気を放っていた者が我々の中に交じって、普段は無邪気な少年のように振舞っている事に未だに慣れる事はない。
それにどうしてこの面子でここまではしゃげるのだろうか……オリビアもいないので、楽しみだとはしゃげる気がしないな。
「ええ~~じゃあ女性陣の馬車に乗ろうかな」
「そういう意味で言ったんじゃない」
「ふふふっ、水遊びなんてソフィアも喜びそうですね」
ラスが嬉しそうに話している様子を見ていると、少なからずソフィアに対しては普通に接しているように見える。
我々に対してはかなり警戒しているように感じるが……このお調子者キャラも相手に素を見せない為のものなのだろう。
いつ、我々に本性を現すかを注視しているのだが、全く見せる気配がない。
その内滞在期間が終わり、結局正体が分からずに終わる……なんて事になりそうな気がしなくもない。
そんな事を考えていると、ゼフの両腕がスッとのびてきて、ラスをつかまえたかと思うと、自分の隣りにちょこんと座らせた。