【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第37話 シェリルとギルバートの視察(10)
「……シェリル、大丈夫か?」
ノールズからの帰り道。ギルバート様は馬車に乗り込んでから幾度目になるかわからない問いかけをしてくださる。
正直なところ鬱陶しい……と思わない気持ちも、ないことはない。でも、それが私を心配しているから出てくる言葉だとわかっているためか、それ以上に嬉しかった。
「はい」
にっこりと笑ってそう言えば、ギルバート様は視線を露骨に私から逸らす。
ギルバート様はどうやら公衆の面前で私に告白してしまったことに、いろいろと思うことがあったらしい。実際、私はノールズの人たちに囲まれてしまうことになった。……拝まれたのは、ちょっと……その、思うことがあったけれど。
「……苦しくないか?」
「……もう、そればっかりですね」
苦笑を浮かべながらそう返事をすれば、ギルバート様は「……だが」とおっしゃって眉を下げられる。その何処となく弱々しい表情が私の胸にきゅんと来て……私は顔を真っ赤にしてしまった。
その所為で、私はギルバート様からそっと視線を逸らす。だけど、ギルバート様は私の乙女心など理解してくださらない。私の顔を覗き込み、「どこか、痛むのか?」と問うてこられる。……どうして、このお方はこんなにも鈍いのだろうか。
「シェリル――」
「あ、あのっ!」
ギルバート様が私の名前を呼ばれるので、半ば無理やり誤魔化すように声を上げる。すると、ギルバート様は「……どうした?」ときょとんとされながら尋ねてくださった。
その目がとてもきれいに見えてしまって、私はそっと彼の肩に頭を預ける。
ノールズからの帰り道。ギルバート様は馬車に乗り込んでから幾度目になるかわからない問いかけをしてくださる。
正直なところ鬱陶しい……と思わない気持ちも、ないことはない。でも、それが私を心配しているから出てくる言葉だとわかっているためか、それ以上に嬉しかった。
「はい」
にっこりと笑ってそう言えば、ギルバート様は視線を露骨に私から逸らす。
ギルバート様はどうやら公衆の面前で私に告白してしまったことに、いろいろと思うことがあったらしい。実際、私はノールズの人たちに囲まれてしまうことになった。……拝まれたのは、ちょっと……その、思うことがあったけれど。
「……苦しくないか?」
「……もう、そればっかりですね」
苦笑を浮かべながらそう返事をすれば、ギルバート様は「……だが」とおっしゃって眉を下げられる。その何処となく弱々しい表情が私の胸にきゅんと来て……私は顔を真っ赤にしてしまった。
その所為で、私はギルバート様からそっと視線を逸らす。だけど、ギルバート様は私の乙女心など理解してくださらない。私の顔を覗き込み、「どこか、痛むのか?」と問うてこられる。……どうして、このお方はこんなにも鈍いのだろうか。
「シェリル――」
「あ、あのっ!」
ギルバート様が私の名前を呼ばれるので、半ば無理やり誤魔化すように声を上げる。すると、ギルバート様は「……どうした?」ときょとんとされながら尋ねてくださった。
その目がとてもきれいに見えてしまって、私はそっと彼の肩に頭を預ける。