【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第38話 エリカの選択
 ノールズの視察を終え、約一週間が経った。あれ以来、私の方もエリカの方も体調はかなり回復し、のんびりと二人でお庭を散策できるようにもなった。

 本日はギルバート様は朝からお仕事として領地で一番大きな街に行かれている。さすがに今回は視察ではないので私はお留守番。あんまりギルバート様にご迷惑をかけるわけにもかないもの。

「ねぇ、エリカ」

 今日は絶好のお茶会日和……ということもあり、私はサイラスさんにとある提案をされた。

 それこそ――お茶会のホストの練習。

 せっかくエリカがいるのだから、役に立ってもらわなくては。サイラスさんはそう言っていたけれど、なんだかんだ言ってもサイラスさんもエリカへの敵意は薄れ始めている。それはきっと、エリカが大人しくしているからだろう。

「シェリル様。そこは先ほどお教えした通りに」
「わ、わかったわ」

 エリカを招待客として、小規模なお茶会を想定した動きをする。

 リスター伯爵家ともなれば大規模なお茶会も開かなければならないそうだけれど、今必要なのは小規模なものの練習だということ。リスター伯爵夫人として、お茶会のホストは義務だそうだ。

(まぁ、何処の貴族でも嫁ぐ際に恥にならないようにと練習するのだろうけれど……)

 生憎と言っていいのか、私の両親はあの方たちだから。そう考えれば、私はイライジャ様に嫁がなくて本当によかったと思う。こんな調子だったら、間違いなく彼に叱責されていただろうから。

(ギルバート様の恥にならないように、頑張らなくちゃ)

 貴族の妻の役割は夫を支え、社交に精を出すこと。ギルバート様の役に立ちたい以上、これは必須科目なのだ。
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