【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第39話 守りたいの
「……お義姉様」
「だって、貴女は私のたった一人の妹だもの」

 何度も言うように、私はエリカのことを嫌っていない。出来ることならば、ずっと昔。幼い頃のように仲の良い姉妹に戻りたいと思っているくらい。

 その気持ちはエリカにもしっかりと伝わったらしく、彼女は「……たまには、会ってくれると嬉しいわ」と言いながら肩をすくめる。
 なので、私は力強く頷いた。

「リスター伯爵領にいるのならば、そこまで距離も離れていないものね」

 私がそう告げれば、エリカは「そうね」と言いながらお茶を飲む。その仕草はとても美しく、まるで生粋の貴族の令嬢のようだった。……いや、エリカも私も生粋の貴族の令嬢なのだけれど。まぁ、育ち方も現状も全然違うけれど。

「お義姉様は、挙式はするの?」

 不意にエリカがそう問いかけてくる。……挙式、か。

「えぇ、そのつもり……らしいわ。私はあまり派手にしてほしくないのだけれど……」

 苦笑を浮かべながらそう言えば、エリカは「お義姉様、派手なことが苦手だものね」と言いながらくすくすと笑う。

「でも、辺境伯の当主の結婚ともなれば、大規模でも仕方がないわ。……私も、お祝いの品をお贈りするわね」

 エリカはにっこりと笑ってそう言う。けれど、最後には「受け取ってくださるかは、わからないけれど」と付け足していた。

 だけど、私にはわかる。……ギルバート様も、最近ではそこまでエリカに嫌悪感を持っていないと。むしろ――。

(エヴェラルド様へ嫌悪感の方が、強そうなのよね……)

 エヴェラルド様の行動を、ギルバート様はとても嫌われていた。それに、私のことを助けてくださったときもエヴェラルド様に対して怒りを露わにされていた。……嬉しかったなぁ、なんて。
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