【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
閑話3 エリカの決意(エリカ視点)
「エリカの気持ちを考えて。ロザリア様のおっしゃった通り、貴方のしていることは一方的な愛情の押しつけよ」

 意を決したようなお義姉様のそのお言葉。そして、エヴェラルド様を平手打ちしたお義姉様を物陰から見たとき……私の決意は固まったのかもしれない。

(……お義姉様)

 豪奢な寝台に横たわりながら、私は昼間見た光景を思い出していた。

 実はあの後、私はお義姉様の後を追った。でも、前には出て行かなかった。いや、違う。……足が震えて前に出られなかったのだ。
 何が怖かったのか。今ならばそれがよく分かる。まさか私をストーキングしていた人がエヴェラルド様だったという真実が怖かったのだ。信頼しきっていた彼が犯人だなんて、私は想像もしていなかったから。

(……エヴェラルド様)

 昔はとても優しくて、私のことを気遣ってくださった素敵な男性だった。けれど、アシュフィールド侯爵家が没落して以来、疎遠どころか会ってもいない。

 そんな彼を犯人だと疑う方が無理だった。……私のことは、あきらめたと思っていたから。

(でも、私は怖かったの。……それに、私はエヴェラルド様のお気持ちを受け止められない)

 お義姉様をあんなにも傷つけてしまった私が、幸せになることは許されない。それに、エヴェラルド様と結婚したからといって幸せになれるとは限らないのだ。エヴェラルド様の生家はとても厳しいおうち。没落令嬢の私が嫁ぐことを、よしとはしないはずだから。
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