【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第46話 何もできない、でも
アスキスの街はこじんまりとした街だ。けれど、旅人たちがよく訪れるため、宿泊施設や食事処などがたくさんある。どちらかと言えば、商売の街といったイメージだと思う。
アスキスの街に足をつければ、その独特の雰囲気に息を呑む。にぎやかな声にいろいろと思うことはあるけれど、とりあえずエリカを捜さないといけない。それだけは、わかる。
(……よし)
今の私はつばの広い帽子をかぶり、貴族であることを隠した風貌だった。そんな私の側にクレアとマリンがぴったりとついている。ロザリア様は私たちよりも少し先を歩いていた。なんでも、エリカの魔力の足跡を捜しているらしい。
「……うん、こっちですね」
そうおっしゃったロザリア様に続いて、私たちは歩く。エリカがどうしてアスキスの街に来たのかはよくわからない。もしかしたら、元々ここらへんで働くつもりだったのかもしれない。それならば、別にいいのだけれど。
ただ、エヴェラルド様とたった一人で向き合うのは止めた方が良いと思う。エヴェラルド様はエリカには手荒な真似をしないと思うけれど、やっぱり心配だもの。
「……シェリル様」
そんな風に思っていれば、不意にマリンが声をかけてきた。なので、私が「どうしたの?」とゆっくりと問いかければ、彼女は「……その、こんなこと、私が伝えていいかはわかりませんが……」と言って言葉を切る。どうやら、言いにくいことらしい。
それを悟りつつ、私は「聞かせて」とマリンの目を見てしっかりと告げる。そうすれば、彼女は「……エリカ様、多分、シェリル様と旦那様の挙式に、出席したかったのだと思います」と目を伏せて教えてくれた。
アスキスの街に足をつければ、その独特の雰囲気に息を呑む。にぎやかな声にいろいろと思うことはあるけれど、とりあえずエリカを捜さないといけない。それだけは、わかる。
(……よし)
今の私はつばの広い帽子をかぶり、貴族であることを隠した風貌だった。そんな私の側にクレアとマリンがぴったりとついている。ロザリア様は私たちよりも少し先を歩いていた。なんでも、エリカの魔力の足跡を捜しているらしい。
「……うん、こっちですね」
そうおっしゃったロザリア様に続いて、私たちは歩く。エリカがどうしてアスキスの街に来たのかはよくわからない。もしかしたら、元々ここらへんで働くつもりだったのかもしれない。それならば、別にいいのだけれど。
ただ、エヴェラルド様とたった一人で向き合うのは止めた方が良いと思う。エヴェラルド様はエリカには手荒な真似をしないと思うけれど、やっぱり心配だもの。
「……シェリル様」
そんな風に思っていれば、不意にマリンが声をかけてきた。なので、私が「どうしたの?」とゆっくりと問いかければ、彼女は「……その、こんなこと、私が伝えていいかはわかりませんが……」と言って言葉を切る。どうやら、言いにくいことらしい。
それを悟りつつ、私は「聞かせて」とマリンの目を見てしっかりと告げる。そうすれば、彼女は「……エリカ様、多分、シェリル様と旦那様の挙式に、出席したかったのだと思います」と目を伏せて教えてくれた。