【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第47話 『友人』だったら
「……っつ、エリカっ!」
「名前を呼ばないで。虫唾が走るわ」
そんな声が聞こえてくる。思わず息を呑んでいれば、エリカは何でもない風に「それだけよ」と言っていた。
そして、私たちのいる方向に歩いてくる。……その姿を見ると、私はハッとして隠れてしまった。
(今は、出て行くべきじゃないわ)
そう思い物陰に隠れていれば、エヴェラルド様がエリカの手を思いきり掴む。
「エリカっ! どうして、急にそんなことを……キミだって、僕に気があるだろう?」
どうして、彼はそこまでエリカに愛されていると自信を持てるのだろうか。そう思う私を他所に、エリカはエヴェラルド様の手を振り払う。それから、「ふざけないでっ!」と言っていた。
「あんな狂気的なラブレターをもらって、気があるとかふざけているの!? 私は……私は、怖かったのにっ!」
エリカの声は、露骨に震えていた。今すぐにでも飛び出して抱きしめてあげたいと思うけれど、それは許されない。今は、彼女のことを見守ることしか出来ない。
(私が行っては、逆効果になるものね……)
ぐっと手のひらを握りしめて、私はエリカとエヴェラルド様の様子を窺う。
「……え、り――」
エヴェラルド様がエリカに手を伸ばそうとしたとき、不意にエリカは――その手で、エヴェラルド様の頬をぶった。
「……最低。あんた、本当に最低っ!」
涙をぽろぽろとこぼしながら、エリカはそういう。その言葉と様子を見て、私は勢いよく飛び出してしまいそうになった。けれど、マリンに引き留められた。彼女の方に視線を向ければ、彼女はゆるゆると首を横に振る。それから、口パクで「まだ、ダメです」と伝えてくる。
「名前を呼ばないで。虫唾が走るわ」
そんな声が聞こえてくる。思わず息を呑んでいれば、エリカは何でもない風に「それだけよ」と言っていた。
そして、私たちのいる方向に歩いてくる。……その姿を見ると、私はハッとして隠れてしまった。
(今は、出て行くべきじゃないわ)
そう思い物陰に隠れていれば、エヴェラルド様がエリカの手を思いきり掴む。
「エリカっ! どうして、急にそんなことを……キミだって、僕に気があるだろう?」
どうして、彼はそこまでエリカに愛されていると自信を持てるのだろうか。そう思う私を他所に、エリカはエヴェラルド様の手を振り払う。それから、「ふざけないでっ!」と言っていた。
「あんな狂気的なラブレターをもらって、気があるとかふざけているの!? 私は……私は、怖かったのにっ!」
エリカの声は、露骨に震えていた。今すぐにでも飛び出して抱きしめてあげたいと思うけれど、それは許されない。今は、彼女のことを見守ることしか出来ない。
(私が行っては、逆効果になるものね……)
ぐっと手のひらを握りしめて、私はエリカとエヴェラルド様の様子を窺う。
「……え、り――」
エヴェラルド様がエリカに手を伸ばそうとしたとき、不意にエリカは――その手で、エヴェラルド様の頬をぶった。
「……最低。あんた、本当に最低っ!」
涙をぽろぽろとこぼしながら、エリカはそういう。その言葉と様子を見て、私は勢いよく飛び出してしまいそうになった。けれど、マリンに引き留められた。彼女の方に視線を向ければ、彼女はゆるゆると首を横に振る。それから、口パクで「まだ、ダメです」と伝えてくる。