【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第51話 最高の日に
 教会の控室にも飾られているステンドグラスは、とても美しい。

 ぼんやりとしながらそれを見つめていれば、私の化粧をしてくれていたクレアが「できましたよ」と声をかけてくれた。

「シェリル様、とてもお綺麗です……!」

 そして、そんな言葉をくれる。

 その言葉に肩をすくめながら「ありがとう」と言えば、マリンは「本当にお綺麗です……!」と感動したような声で言ってくれた。

「うぅ、いよいよこの日が訪れたのですね……!」

 マリンのその言葉に、私は「えぇ、ようやく……なの、かしら?」とちょっとだけ首をかしげながら返事をした。

 今日は晴天。絶好の結婚式日和。そう思いつつ、私は控室から窓の外を見つめる。

「クレア、マリン。本当にお世話になったわね」

 肩をすくめたままそう言えば、二人は「今後もお世話しますよ~!」と張り切った風に言ってくれる。それが何処となく面白くて、私は笑ってしまった。

「そういえば、シェリル様とお呼びするのも本日が最後ですね」

 不意にクレアがそう告げる。……そういえば、そうなのか。

 私がそのことに気が付き目を大きく見開けば、彼女は「今後は奥様呼びですからね~」とのんきに言う。

「いやぁ、本当に間違えそうですよ」
「……間違えてくれても、別に構わないわよ」

 奥様呼びは嬉しいと言えば嬉しいのだけれど、ほんの少し寂しい。そう思って私が苦笑を浮かべていれば、マリンは「たまにはシェリル様とお呼びしましょうね」と言ってくれた。

「えぇ、お願い」

 彼女のその言葉に頷いていれば、不意に控室の扉がノックされる。それに驚きつつも「どうぞ」と返事をすれば、扉が開いてサイラスさんとギルバート様が顔を出してくださった。
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