【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第17話 花嫁修業の日々と異母妹(5)
(……こんなの、絶対におかしいわ)
私はその紙を見つめながらそんなことを思った。……エリカの幼少期の姿が、想像で描かれているのならばまだ分かる。でも、この姿はエリカの幼少期そのもので。想像で、ここまで事細かに描けるわけがない。そう思いながら、私はその紙を封筒の中に押し込んだ。……エリカには、見せたくなかった。
「……シェリル様」
その私の様子を見たからか、マリンは私の顔を覗き込みながら不安そうな表情を浮かべる。だから、私は「……ギルバート様に、ご報告しておくわ」と言ってワンピースのポケットに乱雑にそのお手紙を押し込んだ。
(一方的な好意の押しつけほど、気持ち悪くて迷惑なことはないのよ)
心の中でそう思いながら、私はただ呆然としていた。エリカは、安心しているのかすやすやと眠っている。
……この子のこと、なんとしてでも守らなくちゃ。そんな決意を新たにしながら、私はエリカの手を握る。……ずっと、ずっと無理をしてきたのよね。偽りの姿で固めて、ずっと孤独に耐え続けていたのよね。
……私は、それにもっと早くに気が付くべきだった。イライジャ様を奪ったことも、魔力を奪っていたことも。もしかしたら、それはエリカの「助けて」という悲鳴だったのかもしれない。今ならば、そう思える。私は、この子にきちんと向き合っていなかった。
(誰だって、自分の身が一番可愛いものね。私も、なんだかんだ言ってこの子から目を逸らしていたのよ)
ここに来れて、私は幸せを手に入れた。愛する人も、好きな人も、大切な人たちも出来た。だけど、それはもしかしたらエリカという犠牲の上に成り立っていたのかもしれない。そう思うと、反省しかなくて。
私はその紙を見つめながらそんなことを思った。……エリカの幼少期の姿が、想像で描かれているのならばまだ分かる。でも、この姿はエリカの幼少期そのもので。想像で、ここまで事細かに描けるわけがない。そう思いながら、私はその紙を封筒の中に押し込んだ。……エリカには、見せたくなかった。
「……シェリル様」
その私の様子を見たからか、マリンは私の顔を覗き込みながら不安そうな表情を浮かべる。だから、私は「……ギルバート様に、ご報告しておくわ」と言ってワンピースのポケットに乱雑にそのお手紙を押し込んだ。
(一方的な好意の押しつけほど、気持ち悪くて迷惑なことはないのよ)
心の中でそう思いながら、私はただ呆然としていた。エリカは、安心しているのかすやすやと眠っている。
……この子のこと、なんとしてでも守らなくちゃ。そんな決意を新たにしながら、私はエリカの手を握る。……ずっと、ずっと無理をしてきたのよね。偽りの姿で固めて、ずっと孤独に耐え続けていたのよね。
……私は、それにもっと早くに気が付くべきだった。イライジャ様を奪ったことも、魔力を奪っていたことも。もしかしたら、それはエリカの「助けて」という悲鳴だったのかもしれない。今ならば、そう思える。私は、この子にきちんと向き合っていなかった。
(誰だって、自分の身が一番可愛いものね。私も、なんだかんだ言ってこの子から目を逸らしていたのよ)
ここに来れて、私は幸せを手に入れた。愛する人も、好きな人も、大切な人たちも出来た。だけど、それはもしかしたらエリカという犠牲の上に成り立っていたのかもしれない。そう思うと、反省しかなくて。