【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第23話 幸せの意味
でも、それよりも。エリカが発したその言葉が私は、とても嬉しかった。お父様やお義母様がいた頃じゃ考えられない言葉。……エリカが、なんだかんだ言っても私のことを嫌っていなかったのだと思ったから。
「……あのね、お義姉様」
私と目を合わせて、エリカは笑った。その後「……私、今はすごく幸せよ」とにっこりと笑って告げてくる。
「いろいろと怖いことは多いけれど……でも、こうやってまたお義姉様とお話が出来ることが、私にとってすごく幸せなことなの」
「……エリカ」
「幸せって、いろいろな意味があるのよね。それが、今更ながらに分かったわ」
エリカのその言葉は、なんだか胸にしみわたるような声音を醸し出していた。
「お義姉様、ここに来て幸せだったでしょう? それと一緒。私……今、お義姉様とこうやってお話出来るのが幸せなの。だから、これ以上の幸せは望まないわ」
目を伏せて、エリカはそう言う。……そう。けど、それには納得できないわ。だって、エリカはもっともっと、幸せにならなくちゃいけないもの。あの両親に振り回された十数年を、取り戻すかのように。
「……そう」
だけど、その言葉は口にしなかった。だって、結局エリカが望んでいないのに私が無理強いをすることは出来ない。エリカがもっと幸せになりたいと、自分で思わない限り私はこの気持ちを口にはしない。そう、決めた。
「……そうだわ、エリカ。今度お出掛けをするって言ったわよね?」
「えぇ、そうね」
「何か、欲しいものはある? 買ってくるから」
そういえばもうすぐエリカの誕生日が近いということを思い出して、私はエリカの手を握ってそう問いかけてみた。すると、エリカは一瞬だけ目を見開くけれど、すぐに「……ヘアピンが、欲しいわ」と消え入るような小さな小さな声で言ってくれて。
「……あのね、お義姉様」
私と目を合わせて、エリカは笑った。その後「……私、今はすごく幸せよ」とにっこりと笑って告げてくる。
「いろいろと怖いことは多いけれど……でも、こうやってまたお義姉様とお話が出来ることが、私にとってすごく幸せなことなの」
「……エリカ」
「幸せって、いろいろな意味があるのよね。それが、今更ながらに分かったわ」
エリカのその言葉は、なんだか胸にしみわたるような声音を醸し出していた。
「お義姉様、ここに来て幸せだったでしょう? それと一緒。私……今、お義姉様とこうやってお話出来るのが幸せなの。だから、これ以上の幸せは望まないわ」
目を伏せて、エリカはそう言う。……そう。けど、それには納得できないわ。だって、エリカはもっともっと、幸せにならなくちゃいけないもの。あの両親に振り回された十数年を、取り戻すかのように。
「……そう」
だけど、その言葉は口にしなかった。だって、結局エリカが望んでいないのに私が無理強いをすることは出来ない。エリカがもっと幸せになりたいと、自分で思わない限り私はこの気持ちを口にはしない。そう、決めた。
「……そうだわ、エリカ。今度お出掛けをするって言ったわよね?」
「えぇ、そうね」
「何か、欲しいものはある? 買ってくるから」
そういえばもうすぐエリカの誕生日が近いということを思い出して、私はエリカの手を握ってそう問いかけてみた。すると、エリカは一瞬だけ目を見開くけれど、すぐに「……ヘアピンが、欲しいわ」と消え入るような小さな小さな声で言ってくれて。