凄腕レーサーは中身も最上級〜夢見る乙女を眠らせない〜
攻防戦の果てに
〜琴side〜

私は今サーキットに来てる。

あれから伊吹は言ったとおりレースに向けて動き出した。

まぁ確かにあまり会えないとは言ってたけど、それでも会えてる。

たぶん今までが会いすぎだったのかも。

そしてこうして練習してる所も見に来たら? と言って誘ってくれた。

にしても。
にしても、カッコ良すぎるわ。

普段もめちゃくちゃカッコいいけどさ。

あのレーシングスーツ姿がまたカッコ良いのなんのって。

しかも時折りこっちに手なんか振ってくれちゃって。

無視してくれていいのに。

休憩中も私の所にきて顔を見せてくれるし。

まさかだ。
あの毒舌でただの女好きだと思っていた彼が、こんなに優しかっただなんて。

だって今ではたぶん私より、私の初めてを大事にしてる。

もうとっくに覚悟もしてるし、伊吹に捧げる気満々なんだけどな。

なんか必死に我慢してる。
< 121 / 300 >

この作品をシェア

pagetop