ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜7
エリナ、狩りに行く
 働く子猫の朝は早い。
 特に、定食屋で働く料理人の子猫の朝は早い。

 だが、今朝の子猫はヘソ天状態で、フェンリルのモフモフに埋まり、目を覚ます様子がない。

 このふわふわで真っ白な子猫のエリナは、無邪気で愛らしいだけの子猫ではない。その真の姿はスカイヴェン国の守護妖精になるべく日本から転移してやって来た、妖精獣ケット・シーである。
 日本にいた時の彼女は、人との縁が薄い二十一歳の社会人、江理奈だった。見習いペットトリマーとして働いていた江理奈は、おっちょこちょいでお調子者の妖精犬クー・シーが事故に遭いそうなところを助け、地球での生を終える代わりに世界を渡って生きることになった。
 ところが江理奈は幸運を吸い取られて暮らしていたせいで、愛情を充分に得られず育ち、彼女の魂は酷く傷ついてしまっていたのだ。
 そこで、改めて育ち直しをして魂を癒すために、今は小さな子猫の姿になってしまっている。

 ちなみに小さな子猫が風邪をひかないようにと自慢の尻尾でくるんでいるのは、スカイヴェン国の第一王子でありながら、王都警備隊の隊長を務め、おまけにこの国の守護妖精でもあるルディだ。

 まだ若い独身狼だというのに、エリナの保護を決意した途端に過保護なお父さん狼と化した彼は、エリナがただの子猫ではないことを知ってからも、その溺愛っぷりを緩めない。むしろ過酷な運命を生き抜いてきた彼女を立派な成人猫に育て上げることが、彼にとっての一番の使命となってしまっている。
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