苦くも柔い恋
柔くも苦い
怒涛の展開に頭が追いつかず、玄関を出るや否や気が抜けたのか膝から崩れ落ちてしまった。
「大丈夫か」
「ごめ…なんか、疲労が脚にきちゃって、」
「無理もない。肩貸すから車まで歩けるか」
「う、うん」
千晃の肩を借りて車まで連れて行ってもらい、助手席へ腰を下ろした。
帰るといっても流石に千晃に往復させるわけにはいかず、お互いに一晩はこの地元で過ごして早朝に帰ることにした。
こういうとき、昼からの出勤は役に立つなとどうでもいいことを考えながら千晃の運転でホテルへ向かいチェックインした。
ツインルームが空いていたのでそこに通してもらい、脚が回復した和奏はベッドの一つへ腰を下ろす。
「ふう…」
色んな諸々を吐き出すようにため息をつけば、千晃が目の前で膝をついた。