苦くも柔い恋
過去〜動揺〜


その後3年生に進級した千晃は、美琴と共に選抜クラスへと入った。

和奏は一般クラスであり、また2人との距離を嫌でも感じさせられた。

けれどそんな中でたまたま帰り道が同じになった時、千晃の第一志望の大学を聞いた。


「ねえ、また3人で同じ学校に行こうよ!」


そう言い放った美琴の表情に淀みは無かった。

美琴達が目指す大学なんて無理だよ、と和奏は抗議したが何故か美琴はそれをイヤイヤと縋りついて拒絶した。


「和奏が居ないの寂しい!ねえ和奏ぁ、一緒に頑張って同じ大学行こう?」

「うーん…」


正直迷った。また3人で、なんて自分が影を見る事が既に想像がついたから。


「ねえ、千晃もそう思うよね?和奏とも一緒がいいよね!?」


しかし美琴の問いかけで意識がガラリと変わってしまった。


「…まあ、そうなんじゃねえの」

「……」


千晃が望んでくれている。

それだけで悩んでいた気持ちを固めるには十分だった。



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