永遠を糸で縫い留めて

秘め事

あなたへの愛は秘めていたことでした

桜の花弁が頬を撫でても 雨の雫が私の額をこつこつと叩いても 

けっしてだれにも打ち明けるつもりはなかった 

声を聞くだけで 吐息を感じるだけで 

林檎のように熟れて赤くなっていた

そしてだれもが 秘めやかなることを

その身に宿して 生きていることを

実感したのでした
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