永遠を糸で縫い留めて

丸い空に月

円を描いてグラウンドの周りに黒い木々が生い茂っている


蒼い空の中央に 白い月がひとつ ぽつんと浮かんでいる


私はその月に手を伸ばすが つめたい空気を掴むだけである


おろした指の間を 夜の空気が通過してゆく


どうか どうか 月に旅立ってしまった君も幸せでいてほしい


地上の僕を温かく見下ろしていてほしい


薄く口を開けて 白い息を吐き出すと


ふわりと溶けていった
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