永遠を糸で縫い留めて

泉に手をひたして

あなたが旅立った日の朝に 私は泉に足を運んだの


冷たい空気に息が白く染まり 靴を履いていても爪先は凍えるようだった


草に霜が降りていて しゃりしゃりと音を奏でているのに じっと じっと耳をすませる


泉は綺麗


朝の光に白く輝いてきらきらと ただきらきらと


そのまま数時間その場所で過ごした


やがて水面は虹色に輝き ゆっくりと凪いでいった


立ち上がり ひとつ涙をこぼしてからまた来た道を引き返した


昼の私の顔は晴れやかだ
< 16 / 484 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop