永遠を糸で縫い留めて

名残

海上で風が静まったのに まだ波がおさまらない 


あの人がくれた言葉に似ている 真夏の氷を浴びたというのに 未だあたたかい 


私は風にうっとりと目を細める 誰がいたかすら覚えていない 


何も聞こえない 何も見なかった 


まるめた手を そっとひろげてみる 7月の名残だけがそこにある
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