永遠を糸で縫い留めて

団扇

ひらひらと舞って 青い残像を真夏の空を背景に浮かべるの


ひらひらと吹く風は 私の首筋を流れる 滝のような汗を冷やしてくれるの


夏の相棒 それがなくなった 


ひらひら 右手を軽くお椀の形にして それの真似をさせるの


吹く風はいつもより違うけれど 夏の私を少しでも強くしてくれるの


あの赤い水風船が描かれたそれに また会えるように 


それまでは 


私の右手が 私の団扇 
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