永遠を糸で縫い留めて

蝉の声

蝉の声 夏の半ば


松明の爆ぜる音が聞こえる


夜へ向かっていくであろう紺色の空に 


くちもとに片手を当ててそっと声をあげる


汗がこめかみを伝い 首筋を流れる


夢でこんな情景を見たような気がする


夏が始まり 夏が終わる時


五月蝿く感じていた蝉の声も ひっそりと終わりを迎えるのであろうか 


来年の8月 


同じ日の同じ時同じ時間に


私は蝉の声を聞くだろう


そうして立ち止まるだろう
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