永遠を糸で縫い留めて

みかづきと烏

射干玉《ぬばたま》の黒い羽は水に濡れて煌めいた

私は烏と距離を取りながら 水面に真珠を散らしたような湖の水面を見つめ続ける

握りしめていたこぶしをゆっくりと広げ 目の前に翳《かざ》す

指の隙間から光が漏れて私の睫毛を照らす

眩しいと感じる

やがて背中に縦の熱を感じ うずくまってしまう

体を抱きしめると ぞわぞわとする感覚に襲われる

何か性欲のような強い衝動を感じる

立ち上がり まっすぐに前を向くと背に翼が生えていた

黒い烏の翼

私はその翼を背負い 天へ飛び立つ

湖を見下ろしながら

瞳は光の筋を追っている
< 25 / 484 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop