永遠を糸で縫い留めて

ゆれる草花

あなたと出会わなければ この夜風に塗られた藍色の草花たちに 


気づくこともなかったでしょう


さわさわと重なり やさしい音を奏でる 


このゆれる草花がなければ 今宵も私はひとり この坂を登っていました


ありがとう 気付かせてくれて 


空を見渡すと 薄水色の雲が 流れて


明日も続くこと 夏が終わったことを しずかなつめたさが伝えている


どうしてあなたは 私と同じように


この草花たちに 愛をそそげたの?


私も あなたに 愛をそそげばよかったの?


答えは誰も知らない 


みんな いつか この世からいなくなる日に向かって歩いている


このゆれる草花たちも同じ


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