永遠を糸で縫い留めて

いるか

海の中から笛を吹いている


私はいつの間にか 彼らの背につかまって


青の中を走っていた


顔に流れる潮は 私にやさしくない 


私を痛めつける


陶器のような体を 右手でそっと撫でると 黒真珠の目玉にあたり


いるかは暴れ出す


海が泣く


いるかを泳がせたのは私だ


いるかと泳いでいるのは私だ
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