永遠を糸で縫い留めて

手鞠の糸

手鞠の糸が ほつりほつれて乱れてゆく

それを手で掬おうと 必死になっていたが

私のちいさな手では

水の中で それを摑み取ることは出来なかった

逃してしまった糸

私の手の中には 残った鞠だけがある

これをどうすればよいか

また糸を探ればよいのか

このまま流れていった糸を切り 

手元に残った鞠だけを 大切にすればよいのか

水に半身を浸し 途方に暮れる

考えている間にも 私の白い着物は水に染みてしまう

その感覚が 何故か心地よかった

足の先を上げて 水を蹴ってみる
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