永遠を糸で縫い留めて

昔ここに 私と同じように訪れた人がいたのだろう


溶けるような春の桜を 燃えるような秋の楓を拝みに


昔この土を 俺と同じように掃いた人がいたのだろう


明日のために 塵を払って


葉が落ちる 時がひとしく過ぎてゆく


青い空は流れて紺色の宵になる


私の命が終わり 砕けて灰になった後も


この寺の鐘は冬になれば鳴り響き 


また産まれゆく人々が訪れるのだろう
< 300 / 484 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop