永遠を糸で縫い留めて

錦秋

子らが集まって枯葉を腕に抱えて ぱっと広げて放っている


ひかりを受けて 地に舞い降りる その一瞬だけ 金色に染まっていた 


少年のかたわらにいた女の赤子の まだ産毛のような頭に 


枯葉がひらりと一枚落ちる


この景色を見るためだけに 今年を生きていて良かったと思えた 


銀杏はもうすぐ 完全な金色に染まるだろう 


それまでは青空を葉のあいだから我らに見せて 


つめたい空気の中をひらひらとそよ風を受けて


漂っている


赤と黄色に染まる公園 


いつまでもここにいたい 


これほどに居心地の良い場所が すぐ近くにあることも忘れていた
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