永遠を糸で縫い留めて

皿をひとつ割った


永い間使用していた皿だった


雪を欺くような白 


トマトや卵を乗せて 口に運んであそばせていた


皿をひとつ割った


何か大事な思い出まですっきりと失われたような心地になる


次の皿は何を買おうか


白磁がいいか 


いや


空をうつしとったかのような 薄青い釉薬のかけられた皿がいい 

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