永遠を糸で縫い留めて

紅茶

久しぶりに新百合ヶ丘で飲んだ紅茶の色は

以前よりも赤かった

緩やかな水面を見つめていると

真ん中から波紋が広がってゆく

沈んでいくのはミルクなのか 私なのか

思考が停止する

目の前にいるあなたの声だけが

カフェのざわめきから私を拾ってくれる

ふっと一息吐き出すと

白い陶器の金の縁取りにくちびるを付け

それを飲んだ

うっすらと目の前に落ちたのは 瞼

続いて開くと あなたの笑顔が

紅茶の香りと共に 目の前に広がった
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